趣味を仕事にするべきなのか

34年の人生のなかで、6年かけてやっとわかったことがある。「趣味を仕事にすべきではない」ということである。

まだまだ消化中の考えではあるが、ぼく個人にとっては、趣味を仕事にすると色々とおかしくなることが判明した。

「趣味を仕事にする」「仕事を趣味にする」という表現を並べてみると、これは順番が変わることによって、まったく中身の違うことを言っているのだと痛感する。

「趣味を仕事にする」というのはスタート地点が「趣味」だから、イコール「楽しいこと」になる。一方で「仕事を趣味にする」はスタート地点が「仕事」だから、イコール「稼ぐこと」になる。

両者を比較して、その原動力が「楽しい」という感情なのか、それとも「稼ぐ」ということなのかによって、継続するうえでのマインドセットが大きく変わる。

原動力は何なのか

趣味が続けられるのは、楽しいからである。仕事が続けられるのは、稼げるからである。シンプルに表現すると、こんな感じかと思う。

それでぼくの話をすると、ぼくは今まで趣味を仕事にしようとしてきた。言い換えると、楽しいことで稼ごうとしていた。ブログであったり、Youtubeであったり。

昔Youtubeの広告で「好きなことで、生きていく」というものがあったが、まぁあのフレーズの甘い蜜感よ。ぼくもこのフレーズに多少なりとも踊らされたが、それでも「好きなことで稼ぐって、大変なことのほうが多かったりするよな」とも言い聞かせつつやってきた。

それでも振り返るとスタート地点が「趣味」であったから、原動力が「楽しいなぁ!」という感情であることには変わらなかった。だから継続していくなかで「楽しくない」という感情が現れると、それに過敏反応してしまうのである。

これは今でこそこうして言語化できているけど、当時のぼくのマインドセットは「好きなことで生きていくことはめっちゃ険しい道なんだぞ」ではあったと思う。でも振り返ると、自分に言い聞かせている言葉と心(楽しみたい)がズレていたのかもしれない。

趣味は趣味のままでいい

最近のぼくの結論としては、趣味は趣味のままで、仕事は別で、というはっきりと両者にラインを引いて分けるということである。

もちろん、趣味を続けていくなかで(そもそも純粋な趣味に継続という意識はない気がするけど)、結果論として「稼げちゃった」ということはあるかもしれない。これはこれで良いけど、あくまでボーナスだろう。

だから、これからは「これ楽しそうだな」と感じることは趣味としてやることにして(このサイトもそうである)、仕事は仕事で別で生活のためにやる、という感じがいいのだろうと思う。

冒頭の2つの文章を言い換えると、「趣味仕事になる」「仕事趣味になる」という感じで、この両者がむすびつくことは結果論であって、意識的につなげるものでもないのかもしれない。

趣味で稼げちゃうことはボーナスだし、仕事で楽しめちゃうことはボーナスである。ボーナスは予期せぬ喜びであって、それを予期してスタートしてはいけない。

遠回りな人生

という感じで、「好きなことを仕事にしないほうがいい」ということを、ぼくは6年かけてやっと体で理解できた。すごく時間がかかった気もするけど、過去に戻れたとしても同じくらいかかっただろう。ちょっと甘ったれてたな、という気もする。まぁ、人生こんなものかもしれない。

好奇心が強いおかげでこれからも趣味には困らない気がするから、さて「仕事」をどうするか、という話である。

いまは個人事業主ではありながらも、ときには貯金を切り崩しつつ、趣味とは関係のない仕事をしている。自分始動の事業は今はない。事業所得よりも雑所得が多い状況である。

自分のなかでの「働き方」というものが一旦リセットされたから、今までは「サラリーマンは向いていない」と言い放っていた自分がいたが、改めて「正社員」という選択肢も入れてみている。

ただ、せっかく個人事業主として今まで数年生きてきたのだから、ここでもう1回、なにか事業を考えてみたい気持ちもある。

今までは「事業を考える」となると、「なにが楽しいかな」「夢中になれるかな」という感情からはじまり、それが見つかったらそこにビジネス的要素をすり合わせていたが、これからは大きく考え方が変わっていくだろうと思う。

もちろん、ぼくだって人生楽しみたいわけで、それはみんなと同じである。だから事業を考える上で、自分の今まで積み上げてきたスキル、他人より楽にこなせる得意なことなども検討しつつ、そこに自分の関心ごとも重ね合わせるつもりではある。

「仕事は大変なものである」「つらいものである」と考えたいわけでは決してない。ただ、今までのぼくは「仕事」と「楽しい」をくっつけすぎていたので、一旦「楽しい」には離れてもらうという感じ。「楽しい」は趣味でやればいい。

yoshikazu eri

当サイトの運営人。大阪生まれ千葉育ちの87年生まれ。好奇心旺盛の飽き性。昔は国語が苦手だったが『海辺のカフカ』を2日間で読破した日から読書好きに。気づいたら2時間散歩している。

Leave a Reply

Your email address will not be published.

CAPTCHA