『科学的な適職』を読書中(2)

前回に続き、『科学的な適職』という本を読んでいるなかでのメモを書いていく。

今回は、著者が「間違いだ」と言い張る、職選びでの7つの間違いについて、ぼくなりの考えも加えつつ書いていこうと思う。

その7つは、これである。

  1. 好きを仕事にする
  2. 給料の多さで選ぶ
  3. 業界や職種で選ぶ
  4. 仕事の楽さで選ぶ
  5. 性格テストで選ぶ
  6. 直感で選ぶ
  7. 適性に合った仕事を求める

好きを仕事にする

これはわかる。「好き」がスタート地点だと「楽しい」が原動力になりがちだから、「好きじゃなくなった」とき、辞めたくなってしまう。

本では、好きを仕事にしたいタイプを「適合派」、仕事はやっていくうちに好きになるものと考えるタイプを「成長派」と分類して、調査によると成長派のほうが幸福度が高いそうである。

適合派の幸福度が高いのは最初だけで、1~5年の長いスパンで見た場合、両者の幸福度・年収・キャリアなどのレベルは成長派のほうが高かったからです。研究チームは、「適合派は自分が情熱を持てる職を探すのがうまいが、実際にはどんな仕事も好きになれない面がある」と言います。

『科学的な適職』の本文より引用

ぼくにとってはなかなかのダメージを受ける文章である。確かに自分は「やりたいこと」を探すのはうまいほうかもしれない。でも、続いてもせいぜい3年であった。

給料の多さで選ぶ

仕事と給料の満足度には、実はほとんど相関関係がないそうで、その数値は「r=0.15」だそう。0.5以上だと「関係がある」とされるそうだが、0.15は「ほぼ無関係」だと言えるそう。

それよりも良い人生のパートナーと巡り合えたり、健康状態がちょっと良くなったりしたときのほうが、収入アップよりも何倍もの幸福を感じるとか。

つまり、がんばって世間でもトップクラスの年収を稼ぎ出したとしても、良いパートナーとめぐりあう喜びや、健康の改善による幸福度の上昇レベルにははるかに及びません。お金を稼いで幸福を目指すなら、まずは人間関係や健康の改善にリソースを注ぐほうが効果は大きいわけです。

『科学的な適職』の本文より引用

これについてはちょっとわかる。さすがに生活するのが難しいくらいの状況だと「給料」というのは大きな要素になってくるけど、生活に困っていないなら、そこからさらに収入が増えても、幸福度は比例して上がらないように思う。

今までの人生で何度か、そこそこまとまったお金が入って「しばらく安心だな」と感じたことがあるが、そのとき、幸福度はそこまで増えなかったし、むしろ悩みが増えた気がした。さらには、そういうときこそ家族や友人の大切さがよりわかってくる。

お金は大事だけど、全てじゃない。しかも、幸福との相関関係はほぼゼロ。

業界や職種で選ぶ

これはついやってしまいがちな発想。これからはプログラマーが稼げるとか、ブロックチェーンとかAIとか、そういう話ってある。

世間には「10年後の仕事」といった本がたくさんあるけど、実はそうした学者、評論家、ジャーナリストの予測が当たる確率は50%ぐらいだとのこと。コイン投げと同じ。

さらには、10年後自分の興味がどれくらい変わっているか?の予測だって、自分ではわからない。

たとえば、あなたが18歳のころに「将来は喫茶店をやりたい」と考えていたとしても、28歳まで同じ希望を保ち続けているかどうかの予測は不可能です。

(中略)大半の人は「現在の価値観や好みがもっとも優れている」と思い込み、過去に起きたような変化が未来にも起きる可能性を認めません。

『科学的な適職』の本文より引用

今は変化のスピードが早いから、余計に「未来はこうなっている」と予測を立てて、業界や職種で仕事を選ぶのは、ほぼ意味がないという。

仕事の楽さで選ぶ

たまに「楽して稼げる仕事」というフレーズが漂っていることがあるけど、これは幸福度をかえって下げることもあるという。ストレスには良いものと悪いものがあるけど、良いもの(一時的な負荷)はある程度あったほうが幸福度が上がるそう。

ケニアのサバンナで暮らすバブーンを調べた研究でも、仕事の少ない個体ほどストレスホルモンの量が多い傾向が確認されています。

『科学的な適職』の本文より引用

人間関係などの持続的なストレスが体に悪いけど、そうでなければ適度なストレスがあることで、仕事への満足度が上がる。

「船荷のない船は不安定でまっすぐ進まない。一定量の心配や苦痛は、いつも、誰にでも必要である」

ショーペンハウアーの名言

確かに楽すぎる仕事って、どこか「あれ?」という不安というか、稼げているのに心に小さな穴が残った状態で仕事を終える感覚がある。

性格テスト、直感、適性で選ぶ

最後はまとめて3つについて書いちゃうが、世間にある性格テストというものは、あまり当てにならないらしい。さらには直感で選ぶのもNGで、自分の「強み」を理解したうえでの適性で選ぶのもおすすめしない、と。

自分の「強み」を知ることは決して無駄にはならないが、仕事の満足度との相関関係は少ないらしい。ただ、一旦仕事が決まったら、「強み」を生かして働くというのは有効だそう。


ということで読んだのはこの当たりまでなのだが、ここで「じゃあ、なにを基準に適職を探せばいいの?」と聞いてみたいところである。それがこの先に書いてある。これから読む。

yoshikazu eri

当サイトの運営人。大阪生まれ千葉育ちの87年生まれ。好奇心旺盛の飽き性。昔は国語が苦手だったが『海辺のカフカ』を2日間で読破した日から読書好きに。気づいたら2時間散歩している。

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