『科学的な適職』を読書中(1)

少し前から気になっていた本『科学的な適職』がKindleで安かったから、いま読んでいる。タイトル通り、「適職ってなにか?」に対して科学的な説明が書かれていて、いま3割ほど読んだ。

読み進めるなかで、メモ的な感じでここにちょくちょく書いていきたい。

視野の狭さ

まず著者は、人は職選びする際に、どうしても視野が狭窄(きょうさく)してしまうと言う。狭窄とは、視野が狭くなるという意味。

普通に考えれば、キャリア選択の場面では徹底的なリサーチを行うのが当たり前の話。もし友人から「直感で転職先を選んだ」などと言われたら、誰もが「もっと下調べをしなさい」とアドバイスするでしょう。が、いざ自分のことになると、なぜか私たちは十分なリサーチを怠りやすくなります。

『科学的な適職』の本文より引用

まぁ要するに、ほとんどの人は仕事選び時にそこまで徹底的にリサーチをしていないそう。

ぼくは今は個人事業主だけど、言われてみれば今までの仕事選びでは、たまたま求人があったり、家に近かったり、引き抜かれたりとか、そういう理由だった。自発的にリサーチというのはやったことがないかも。

職選びと人間の脳

そもそも人間の脳は職業選びに向いていない、ということが書いてあって、「おお!」とうなった。確かにそうかもしれない。しかも、人間の脳には間違った適職選びをするバグがあるとも言う。

ちょいと長いが、本文より引用する。

たとえば、あなたが原始時代に生まれていたら部族の一員として狩りに精を出すしか生きる道はありませんし、江戸時代に生まれれば世襲制のしくみに従って親の仕事を継いでいたでしょうし、中世ヨーロッパに生を受けたらかなりの確率で農奴として一生を終えたはずです。

人が職業を選べるようになったのはヨーロッパで能力主義の考え方が進んだ19世紀に入ってからのことですから、人類は歴史の9割以上を「仕事選び」に悩まずに暮らしてきたことになります。

そのせいで人類の脳には、「複数に分岐した未来の可能性」をうまく処理するための能力が進化しませんでした。

『科学的な適職』の本文より引用

今の時代は、良い意味でも悪い意味でも選択肢(可能性)が広がって、それによって選ぶコストは増えているし、もっと言えば「自分は何者になりたいのか?」ということも考えたくなってしまう傾向がある。選択肢があり過ぎて、身動きが取れなくなるときさえある。

好きを仕事にする

これはぼくが今までやってきたことだが、著者がこれも間違いだと言う。今のぼくは、これに共感できる。

例えば、Appleのスティーブ・ジョブズがIT業界に入ったのはビジネスの匂いを感じ取ったからで、本人はスピリチュアルなものが好きでインド修行に行っている。

もし歴史上の偉人たちが好きなことを仕事にしていたら、ゴッホは聖職者として一生を終えたでしょうし、ココ・シャネルは売れない歌手のまま活動を続け、ナポレオンは無名の小説家だったかもしれません。

『科学的な適職』の本文より引用

他にも過去の実験データなどで「好きを仕事にしても幸福度にはそこまで影響がないことがわかった」みたいなことが書かれてあった。

好きを仕事にした人よりも、そこまでこだわりなくスタートして、やっていくなかで楽しくなってきた人のほうが幸福度が高かったりするそう。

オックスフォード大学が行った別の研究では「好きを仕事にした人ほど長続きしない」との結論も出ています。(中略)

全員のスキルと仕事の継続率を確かめたところ、もっとも優秀だったのは「割り切り派」でした。一見すれば情熱を持って仕事に取り組むほうがよさそうに思えますが、実際には「仕事は仕事」と割り切ったほうが作業の上達が速く、すぐに仕事を辞めない傾向があったわけです。

『科学的な適職』の本文より引用

ふむふむ

まだまだ先は読んでいないが、なかなか興味深いことが書いてある本。「好きを仕事に」が間違いであることは最近気づいたけど、この本によれば自分の強みや性格を元に仕事選びをすることも間違いだそう。

つくづく思うのは、この10年くらいで社会はものすごいスピードで進化してる。でも一方で進化していない人間の脳がこれに適応できず、ズレによって悩みが生まれているように思う。昭和と令和の仕事選びは違うだろうし。

このあたりのズレを自覚しながら、現状の可能性や問題、さらには広がっている可能性とも向き合いながら、吟味していくしかないのかもしれない。

yoshikazu eri

当サイトの運営人。大阪生まれ千葉育ちの87年生まれ。好奇心旺盛の飽き性。昔は国語が苦手だったが『海辺のカフカ』を2日間で読破した日から読書好きに。気づいたら2時間散歩している。

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