初めて小倉に行ってきた。博多や天神方面は何度か行ったが、北九州方面はあまり開拓したことがなかった。1時間ほど電車に乗ったのは、久しぶりである。
ちなみに、和菓子好きなぼくは反射的に「おぐら」と読んでしまったが、正しくは「こくら」である。
着いてまず思ったのは、発展具合である。博多には劣るような気もするが、劣らないくらいの発展具合である。
「行ったことがないから」という理由でやってきたから、周辺をぶらぶらするだけでも全然いいのだが、そのついでに書店巡りをするのも楽しみにやってきた。グーグルマップで「書店」と検索すると、周辺で10件くらいヒットしたから、「行くかなぁ、どうすっかなぁ」が「いくか」に変わった。
駅前にはショッピングモールがいくつかそびえ立ち、「発展してるなぁ」と思いながらとりあえずぶらぶらしてみた。いきなり商店街があって、中野駅を思いだした。途中には高級食パンを売っているお店もあった。
商店街を抜けたところでマップを確認すると、一番近いのが「ブックセンタークエスト」という書店であった。とりあえず、そこを目指す。
すぐそばにブックオフとコンビニがあり、とりあえずコンビニで高菜おにぎりを買って腹ごしらえ。そのとき、裏にちょっとした川があり、目に止まった。
川の汚さと奥の建物の古さが際立っていて、川を眺めていると魚がいる。小魚もいるが、1匹大きめのナマズに近い魚もいた。すぐそばが海だから、海水か汽水になっているのだろうか、川はちょっと青みがかっていた。
奥の古い建物が気になる。室外機がせり出し、ベランダっぽいエリアもある。なんだか、タイの水上マーケットを思い出した。
この古い建物の表側にいってみると、どうやらそこは「旦過(たんが)市場」と言われる場所だった。北九州の台所とも言われているらしい。
そこは「市場」という名にふさわしい、ちょっと薄暗くて、3人横に並んで歩くと占拠してしまうくらいの狭い市場だった。鮮魚、加工品、果物、酒、野菜、なんでもあった。活気もすごい。前の人がゆっくりだと、こちらもゆっくりとしか進めない。隣で「これ売れなくてねぇ」と笑いながら客と話す店員。「いらっしゃいいらっしゃい〜!」と呼び込みをする店員。
途中にめちゃくちゃレトロな喫茶店があった。どこかの博物館に「大正時代の家」と展示でもされていそうなくらいだった。
ここでもなんだか、東南アジアを思い出した。駅を出ると現代っぽく発展しているのに、こんな昔ながらの場所もある。「小倉、いいじゃんか」と思った。ここに住んでたら、毎日通いそうな市場である。
ちょっと寄り道をしたけど、(ちゃんと)ブックセンタークエストに行った。複数階に分かれていて、なかなかの品揃えで1時間弱うろついた。ただ、1件目だから本はまだ買わない。様子見だ。
この後向かったのは、古書店である。駅の反対側に「城田」という古書店があるようだった。着くと、持ち家兼書店という感じで「OPEN」の札。少し緊張しながら入る。
お客はぼくだけだった。店主の顔は見えないが、どうやら奥でパソコンをカタカタやっている。ときどき、大きく息を吐く音が聴こえる。
古書についてはあまり詳しくないから、とりあえずは本棚を隅から隅までチェックしてみる。古くて背表紙が読みづらくなっている本も多い。ワクワクしながら目で追っていった。
店自体は狭く、入り口から入ると左か右かの2択である。まずは左の棚をみて、入り口に戻って反対側の棚へ。このとき、店主の顔が見れた。メガネをかけた短髪のおじさんで、一瞬こっちをじろっと見た気がする。
「なんか買ったほうがいいよなぁ」と悩みながら棚を眺める。400円の本をレジに持っていくと、「ありがとうございます」と、とても丁寧な対応。先入観というのはこわい。
古書について調べていたら、荻原魚雷の『本と怠け者』という本が欲しくなり、またブックセンタークエストに戻るも在庫なし。その後もブックオフ、書店、書店と巡り、3件目で発見。よかった。アマゾンで買ってもいいが「今」読みたかったのである。
途中コンビニの喫煙所で一服していると、横が不動産屋だったのか張り紙があった。なんと駅から徒歩5分以内で家賃2万円台がある。しかも「洗濯機、乾燥機は完備」「ネット無料」という特典も。最近思うが、福岡は賃料が安い。
知らない土地にきたら、やっぱりカフェには寄りたい。買った本を読んだり、記事を書いた。
帰りにパン屋に寄って、高級食パンを買った。700円弱。「奇跡の食パン」と書いてあったが、帰って食べると微妙だった。耳が硬い。帰りに1時間もかかったせいだろうか。
小倉、また来たい街である。てか住みたい。
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