黒崎散策

今回は、黒崎である。ウィキペディアには「北九州市の副都心」とも書かれていた。駅に着いて南口からでると、「おお、そこそこ発展してるな」という印象。ただ歩いていくと、その印象が少しずつ変わっていった。


さて、駅をでると大きな立体歩道橋みたいな感じになっていて、そのまま直進して奥で地上に降りるか、手前で降りるか、の選択を迫られた。

散策をする身としては、あまり飛ばしたくはないから手前で降りることにした。右側のコムシティというビルに向かう。

これがちょっと面倒でビルにつくと、そのまま降りれるエスカレーターがない。エレベーターは好きではないから、階段で1階まで降りた。降りると、今度は反対側の道に渡る術がない。結局、同じビルでまた上にあがり、歩道橋で奥まで歩いて降りた。

「交通の便が悪い」と言うが、徒歩の便が悪い。黒崎の洗礼なのか。


とりあえず、目的の古書店に向かう。徒歩10分のところに「藤井書店」「古本や檸檬」の2件があるらしい。

向かう中で街中を眺めていると、キャバクラ街的な通りにでくわす。まだお昼だから、当然営業はしていないし、人もほとんど歩いていない。キャバクラ、クラブ、スナックと入り混じっている印象。

自販機で缶コーヒーを買って一服していると、目の前に無料案内所の看板。そういえば、これどんな感じなのだろう。一度も利用したことがない。


最短距離を目指さず、ときどきマップをチェックしながらジグザグに書店を目指して歩いていくと、なんとなく街並みの顔が見えてきた。

とにかく、人がいない。「ポツポツ」とは言ったものだが、ほんとにポツポツいる程度である。平日の昼というのもあるのかもしれない。

途中に天井がやけに高い商店街もあるが、ほとんど店は開いていない。コロナの影響もあるのか「臨時休業」の文字が目立つ。美容室は営業している。

ただ、個人的には好きな街並みではあった。「廃れている」とも表現できるのかもしれないが、駅からちょっと歩いて路地に入ると、古い建物や看板が目立ち、ノスタルジックな気分になった。

藤井書店に着いたのだが、店主がお店の前に100均一文庫を並べていて、なにやら忙しそうである。ついさっきオープンした雰囲気さえ感じる。ちょっと入りづらかったので、もうひとつの書店を目指す。

「古本屋や檸檬」は、レトロな雰囲気のある古書店。店前に「本、買います」と目立つように看板がぶら下がっている。中に入るとジャズっぽい音楽が流れている。店主はレジで作業をしながら「いらっしゃいませー」と小声で言う。この感じこの感じ。いいな。

店内にはレコードも売っていて、店主の好みを感じた。途中お客がひとり入ってきて、すごい勢いで探し物をして、5分もせずに帰っていった。ベテランの雰囲気である。

ぼくは30分ほど全体的に棚を眺めて、結局、店の外の300円均一コーナーにあったミシマ社の雑誌『ちゃぶ台』の創刊号を買った。移住と仕事がテーマで、書店で他のバックナンバーも見たが、これが一番気になっていたので嬉しかった。お得な買い物ができた。


その後、行きそびれていた藤井書店へ。着くともう店主の姿はない。落ち着いたようである。外の100均コーナーをずらっと眺めて中に入る。もちろん店主はレジで作業中だが、店内の本の積み上げ具合がすごい。許容量を超えた本が置かれているような置き方である。

ここはエロ本(DVDも)も置いていた。書店によってラインナップが違うのも面白い。文庫本を500円以上買うと100円割引、みたいな表記もあった。積み上がった本の上にダンボールの切れ端が乗っていて、それをどかして本を見ようとすると「そちらまだ売り物になってないんですよ」と奥から店主に言われる。

さて、藤井書店では買いたい本が見つからなかった。でも、お土産気分で1冊は買って帰りたい。結局選んだのは、『世界の裏街道を行く』(文藝春秋新社、大宅壮一著)だった。

今回買った本

まだまだぼくは古書のビギナーみたいなものなので、目が鍛えられていない。新刊書店であれば、そこそこ判断力が働くのだが、古書ともなると「これ面白いかな?」と判断するのが難しい。

古書には詩集もけっこう多いのだが、ぼくは今まであまり詩を読んできていないので、ここは開拓してみたい分野ではある。

帰りに寄った公園のハト

黒崎には2時間ほど滞在した。「松戸に近いな」と思った。駅から降りると発展しているように見えるが、住んでみるといろいろと物足りなさがでてきそうな。なんでもある、という感じではない。飲み屋、スナック、パブ、キャバクラと入り混じったような通りが目立ったので、夜はぜんぜん違う顔を見せるのかもしれない。

まぁ、まだ1回目だからまだまだ「未知の黒崎」は広がっているはずである。ちなみに駅の反対側は、一面工場地帯みたいな感じだったから、降りなかった。こちらも夜の景色は違うのかもしれない。

黒崎、ちょいと発展してる。「副都心」というのもわかる気がする。古書店が2件あるっていうのは、魅力的ではある。

というかこれ、「路上観察」という名目で書いているのに名前負けしてやいないか。ぜんぜん観察していない。いや、僕なりにゆるーく観察してるんだとは思うが。

yoshikazu eri

当サイトの運営人。大阪生まれ千葉育ちの87年生まれ。好奇心旺盛の飽き性。昔は国語が苦手だったが『海辺のカフカ』を2日間で読破した日から読書好きに。気づいたら2時間散歩している。

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