自分だったらどうするか

映画『メッセージ』を、この前もう一度観た。2016年公開のSF映画で、内容としては、突如空に縦長の巨大UFOが世界中に12機現れ、エイリアンに「地球にきた目的はなにか?」と質問して答えを得るために、主人公の言語学者がアメリカ軍と協力していくストーリーである。

最初に観たのは公開から1年後くらい、今から4年くらい前だった。そのときの感想は「エイリアンの言語を解読していく様がリアルに描かれていてすごい」という程度だった。評価は高かったと思う。

でも今回2回目を観てみて、自分はぜんぜんこの映画のコンセプトがわかっていなかったと気づいた。エイリアンは主役じゃない、もっと別のところにメッセージがあった。『インターステラー』と並ぶ名作だったのか。

ほんと、1回目はどんなムードで観ていたんだろう。。。

すでに見た人はたくさんいるだろうからネタバレはそこまで問題ではないと思うが、ネタバレなしで感想を書いていきたい。といっても『メッセージ』を見て感じた内容はシンプルで、「あなたは人生の残り時間を、どう使いたいか」というものだった。僕はこれと全く同じメッセージを『インターステラー』から受け取っている。

物語の力

映画に限らず、小説でもドラマでも、「物語」というフォーマットで伝えることの意味というのは、「自分の人生では経験できない風景を見せてもらい、登場人物に感情移入して”自分だったらどうするか”を自問自答できる」だと思っている。とくにこの点において、SFはすごい。

映画『インターステラー』でも今回の『メッセージ』でも、そこで描かれている物語というのはフィクションであるから、現実には起こりえない。それでも「もし自分だったら」と考えてしまう力が、物語にはある。

ぼくが読書好きな理由のひとつに「他人の人生や体験を垣間見れるから」があるのだけど、これは映画でも一緒。自分のなかで「こりゃすごい」と思えた映画というのは、その物語をリアルに自分のなかに取り込み、自問自答をして、自分の日々の暮らしを1ミリくらいでも動かしてくれるパワーがある。

自分だったらどうするか

ぼくが大好きな映画には、『バトル・ロワイヤル』『SAW』『インターステラー』『プリデスティネーション』などがある。これらの映画がなぜ好きかというと、それぞれの物語のコンセプトからでてきる「あなただったらどうする?」というメッセージ性が強く感じれるから。ここに今回『メッセージ』も加わった。

映画館で『インターステラー』を見終わった帰り道、涙目になりながら駅に向かったのを覚えている。監督に「つくってくれてありがとう」と脳内で何度も言っていた。監督本人には送っていないが、そのような手紙も書いた。

今回2度目の鑑賞で、その名作さにやっと気づけた『メッセージ』に対しても、同じ気持ちである。この映画には、定期的に戻ってくるだろう。そのたびに、鑑賞後に「自分だったらどうするだろうか」と年齢を重ねていきながら自問自答していくんだろう思う。

yoshikazu eri

当サイトの運営人。大阪生まれ千葉育ちの87年生まれ。好奇心旺盛の飽き性。昔は国語が苦手だったが『海辺のカフカ』を2日間で読破した日から読書好きに。気づいたら2時間散歩している。

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