四天王が見えすぎなんよ

しばらくモチベのコントロールが難しかったBlender(3Dモデリングソフト)がやっと楽しくなってきた流れで、ふと「四天王が見えすぎてるのかも」と今朝思った。

ツイッターを、TikTokを、Youtubeを開けば、そこには四天王が出現する。さまざまなツールを使って高い能力を得ている人々が「ここをこうすればいいんだよ」と手法の施しをしてくれていたり、「私にはこんなことができるのだ、どうだすごいだろう」と能力を見せつけてくる光景があふれていく。

まぁ四天王というか、万天王だろうか。そこには数えきれないくらいに自分の先をいく人々が現れる。いや、それらの光景が”自分の先を行っている”と錯覚してしまう。

自由になんでもできるゲームに参加したつもりだったのに、空には常に四天王の顔が浮かぶ。無意識に「この人たちを目指さなくては」となってしまう。いやいや、おれは自由に動きたいんよ。ゴールなんていうのは俺が決めるんよ、と内心思っていても、四天王の顔はでかい。

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Blenderで何を作りたいのか?という問いの呪縛から解けたきっかけは、この記事である。「そうか、Blenderで作ったやつ、サムネにしちゃえばええやん」と。

「サムネを作りたい→Blenderを使う」ではなく「Blenderやりたい→サムネに放り込もう」という感じで、完成度が度外視される遊びスペースを手に入れたような気分であった。

自分なりの創作をしたいとき、昔からつくづく思っていたのは「チュートリアルはできるだけ見ない」であった。チュートリアルというのは他人が考案したレシピみたいなもので、もちろん基礎の基礎レシピを覚えることには、ある程度の必要性はあるかもしれない。

創りたいものがあって、それに必要なチュートリアルを探すのは良い。スタート地点が「自分」だから。でも”とりあえず”チュートリアルを見てしまうことは、本の末尾が転倒する気がする。

ソフトにはさまざまな機能があって、それぞれの機能には「できること」がある。そうやって機能を自分なりに探っていくと「これとこれでこんなことできるんではないか」という自分なりのレシピが出来上がってくる。

いきなり真っ白なキャンバスからはじめるのは広大すぎるから、最初の自分なりのスペースを構築する上では、いくつかのチュートリアルは役立つ。基礎中の基礎の操作的な。でも、そこからある程度手と足を使えるようになったら、あとは「ソフト」という海原を自由に散策するほうが楽しい。

そんなことに改めて気づき、Blenderのチュートリアルを見るのはやめた。すこぶる楽しい。

これは自分にとって、なかなか良い変化なんじゃあないか、と気づく。自分の扱い方、うまくなってきてるじゃん、と。

Re: 気分で、深く長く

ネットの海は強制的な四天王の海原みたいなものかもしれない。ボスなんて倒すつもりさえないのに、「ボス倒しましょうよ」と言われる。おれは自分のペースで遊べる洞窟や島を探したいのに。

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最後にもうひとつくらい書いて終わろうじゃあないか。だらだらと書いてしまっているが。

年齢も重ねて自分への理解が進んでいくと、「こういうとき、こうなるよね」みたいな行動パターンが見えてきたりする。

俺だったら落ち着いて数ヶ月時間ができると本を読み出す、脳トレをしだす、ルーティンを作りだす、とか。あと「物事が1〜2年くらいなら続く」とか。

これって「そんなパターンね」という言葉に圧縮されがちで、そこには一種の”わかりやすい自分”がいるように見えるんだけど、実は同じことを繰り返しているようで、その構成成分は変わっているかもしれない。

人の細胞が90日?だっけな、まぁ一定期間で全細胞が入れ替わるみたいな話がある。『方丈記』で鴨長明が川にできた渦を指して「同じように見えるが、常に変わっている」みたいなことを言っていたりも。

なんかそういう「同じように見えるけど違うんだよ」ということに気づくことも大事なんだと思う。俺の話でいったら、新しいことをやり出す、だいだい1年くらいで切り替える、とか。それもパターンに見えるようで中身は少しずつ変わっているかもしれない。というか変わっているんだと思う。

ここはなかなかの観察眼が必要な気がするけど、自分の微細な変化に気づく上で”書く”っていうのは有効なセンサーになりうるのかもしれない。

※サムネはBlenderにて制作。タイトルは「鍵損ない」

yoshikazu eri

当サイトの運営人。大阪生まれ千葉育ちの87年生まれ。好奇心旺盛の飽き性。昔は国語が苦手だったが『海辺のカフカ』を2日間で読破した日から読書好きに。気づいたら2時間散歩している。

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