ネトフリ『カトラ』のじわじわ感

ネトフリで最近リリースされたドラマ『カトラ』(原題:Katla)を見終わった。全8エピソードだが、正直5くらいまでは「これから面白くなるはずだ」と耐えて続けて観た。終盤の7くらいからなかなか面白くなってきた。

『カトラ』はアイスランドが舞台の北欧スリラーで、タイトル名は実際にアイスランドにある火山のことを指しているそう。予告編を見ると、真っ黒の女が突然現れて、ちょっとホラーな雰囲気もある。

日本語版の予告編がなかったから英語版を貼っておく

実際の内容には触れずに書いていくが、ジャンルとしてはサスペンスであり、ホラーという感じはしなかった。ただ、ストーリーは淡々と進み、じわじわとその異質感が伝わってくる。

フィクションではあるが、非現実的なCGというのはなく、昔から言い伝えられてきた逸話が現実になったようなストーリーである。

じわじわくる系が好きな人は良いかもしれないが、個人的には「映画でもよかったんじゃないか」と思った。うーん、ドラマだからこそ、その世界感を詳しく伝えられる面は確かにあるが、6割くらい観てやっと「おお!」となってくるような感じはあった。


ただ、『カトラ』を最後まで観てみて、「なかなかの問いかけのあるドラマだな」とは感じた。もし自分が同じ状況にでくわしたら、どういう選択をするだろう?と考えてしまった。

このドラマを見て思ったのは、人は自分が信じたいものを、求めているものを信じたいという側面があるということ。

例えば、現実世界では不満があったりする。と同時に、それが現実である。でもそれがある日、すごく求めていたような状況になる。この「現実だけど不満」と「偽物だけどうれしい」の状況が生まれたとき、人はどっちを選ぶのか。そんなことを考えてしまう。


ぼくだったら後者に揺れてしまうだろうな、と。だってそっちのほうが楽しそうだから。でも、それは偽物であるから、ある種の不気味さも持っている。

どっちを選ぶにせよ、「これが真実なんだ」と自分が思ったら、それが真実になる「ポストトゥルース」的なイメージも浮かぶドラマだった。なかなかの余韻を残されたドラマである。

※サムネはNetflixからのスクショ

yoshikazu eri

当サイトの運営人。大阪生まれ千葉育ちの87年生まれ。好奇心旺盛の飽き性。昔は国語が苦手だったが『海辺のカフカ』を2日間で読破した日から読書好きに。気づいたら2時間散歩している。

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